ポンド危機で学んだ市場が崩壊していく現実

ポンド危機で学んだ市場が崩壊していく現実

私が最初に危機的な状況を経験したのは、92年のポンド危機に端を発する欧州通貨危機です。当時私はニューヨークに駐在していたのですが、直物、先物に関わらず相場がまったく成り立たない。その時初めて「市場機能が崩壊する」ということを経験しました。

 

そうは言っても私は為替ディーラーとして、自分でポジションを持って利益をあげなくてはなりません。幸い、事前に得た情報からポンドをショートしていたのですが、利益目標を達成できるレベルに到達したことや、ポンドのショートポジションをキャリーするスワップが異常に拡大してしまった為に、手仕舞いしてしまいました。ポンドはそれ以降も大幅に下落を続けたので、その時は儲けそこなったと大いに後悔したものです。

 

とはいえ、97年のアジア通貨危機、そして2日で20円円高になった98年のLTCMショックのときも、ポンド危機での経験を生かし、損失を出すことなく、うまく乗り切ることができました。危機的な状況の時はしんどいものですが、やっぱり為替の世界は面白いものだとつくづく思います。為替は政治や国際情勢などが複雑にからみ合う世界で、なかなか自分の思い通りには動かないものです。だからこそ、自分の読み通りに動いた時の醍醐味は何物にも変えがたいほど。まさに天職だと言い切れます。

 

FXの登場で個人でも外国為替取引が容易になり、大変なブームになっています。そのことについては、どのように感じていますか。

 

日本の個人金融資産は1400兆円ともいわれていますが、この低金利では受け皿となるべき投資商品も見当たりません。 FXに限らず、個人マネーが外貨建て資産ヘシフトするのは、ある意味必然ではないでしょうか。そうした中で透明性・流動性に優れ、手軽に取引できるFxが登場したのは時代の要請であり、外貨預金などと比べても利便性・商品性が優れていることは明らか。多くの投資家に利用されるのは当然の結果だと考えます。

 

ただし、現状は極めて短期的な売買をメインに行う投資家が少なくありません。市場全体の流動性を高めるという意味では、短期売買のトレーダーの存在は不可欠ですし、決して否定すべきではありません。今後は、もう少し中長期的な資産運用の一手段として、FXが認知されていくのではないでしょうか。例えば、為替ヘッジを行わず外貨建ての投資信託を購入し、気付いたら円高になっていたどしましょう。その場合にヘッジ手段としてFXで売りポジションを持っておく、というような使い方もできます。そういった観点からもFXはまだまだ伸びていく商品ですし、成長余地のある市場であると考えます。

乱立する取引会社が生んだ過当争競と過剰サービス

その一方で日本のFX市場はいびつな成長の過程をたどっているようにも見受けられます。

 

FXはもともとインターバンクでの為替取引をベースにした金融商品ですが、その後個人向けにアレンジされました。非常にフェアで効率的な商品であるのは間違いありませんが、そのフェアさがあだとなっている面も少なくありません。つまり、どのような投資家であろうとも同じプライス、同じサービスを提供しているがゆえに、為替の知識やFXの基本的な仕組み、投資のリテラシーが不足していたとしても、取引することができます。ギャンブルの延長のような感覚でFXを行う投資家が登場してしまうのも商品がフェアで効率的だからこそなのです。

 

もっとも取扱会社にも反省点はあります。その一つは取扱会社が乱立したことによる過当競争。それが過剰サービスを生んでいたかもしれません。すそ野が広がるのは喜ばしいことですが、そのために取引通貨の小口化や狭スプレッドなど、明らかに行き過ぎたサービスを提供している会社も存在します。もちろん、ビジネスですから他社が投入するサービスをまったく無視するわけにもいきませんが、業界全体として過当競争になっている感は否めないのではないでしょうか。ただ、昨年2月に施行された預かり保証金の金銭信託義務化、8月施行のレバレッジ規制などを経て、健全な方向に向かいつつあることは間違いないでしょう。

 

それに伴い、投資家がFX会社を選ぶ基準は変化するのでしょうか。

 

ハイレバレッジ取引が抑制されたことにより、これまで以上に資産運用商品という色合いが濃くなっていくと思います。そうなると、FX初心者のための中長期的な視点に立ち資産運用をしっかりサポートしてくれるような環境が整備された会社かどうかが選ぶ際のポイントになります。また、レバレッジ規制により、これまでよりも多くの資金を取引会社に預ける必要があるため、会社の信頼性も見逃せません。情報サービスの充実やシステムの安定性、強固な財務基盤、お客様ニーズに応える商品提供力など、FX会社は総合力で選ぶ時代に突入すると考えます。

 

株式NY市場は下落。ダウ平均は25.05ドル安の12356.21、ナスダックは12.74ポイント安の2746.16で取引を終了した。4月新築住宅販売が予想を上回ったほか、ゴールドマン・サックスが原油価格に強気の見方を示したことで上昇して始まった。しかし、ホーニグ・カンザスシティ連銀総裁が金融システム安定化の為に、銀行は融資と預金のみに業務を限定するべきとの見解を示したことが嫌気されて、引けにかけて下落に転じる展開となった。これを受け為替相場でもドル円は下落している。